〇宇宙航空研究開発機構(JAXA)

◆「はやぶさ2」~衝突体への電子ビーム溶接~

小惑星イトカワの探査に成功した「はやぶさ」に続き、「はやぶさ2」が2014年に打上げられました。
「はやぶさ2」は小惑星リュウグウの表面及び地下のサンプルを採取し持ち帰ることを主なミッションとしております。
 
この、地下サンプル採取に必要な人工クレーターを作る衝突装置(Small Carry-on Impactor)に当社の電子ビーム溶接が採用されています。
衝突装置はリュウグウの地表に向かい、狙った位置に飛び、クレーターを作ることが必要です。

この衝突装置の先端にある銅とステンレスの皿状の構造物は弊社の電子ビーム溶接機により溶接された物です。

狙った位置に飛ぶということは周長に渡り均一に溶接されている必要があり、爆圧で均等に剥離する必要があります。
「溶接は取れてはいけない、でも必要な時には取れる。」この相反する要求、これを銅とステンレスという、熱伝導率や融点の異なる異種金属で行うには長年の経験に裏付けられた高度な技術力が求められます。
検証に検証を重ねて、確たる技術力と確証を持ったうえで、製作に取り組んだ結果、2019年4月5日に衝突装置が無事に作動したことが発表されました。
 
『失敗しました。』では済まされない。
 
高度な加工技術が求められることが多い当社の業務は、プレッシャーも大きいですが、当社にしかできない技術であるという自負があります。
その気持ちは、航空機、レース用自動車から、パソコンや携帯端末等の日用品の部品の加工においても、変わることはありません。
当社は常にどんな製品に対しても、邪魔にならない程度のプライドと心地のいい緊張感をもって取り組んでおります。